難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや 伊勢
なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや(いせ)
意味
難波潟の岸に生えている葦の、その節と節の間のような、そんな短い間さえ、あなたに会うことはできないのですか。あなたに会わずに過ごせとおっしゃるのですか。こんなにもお慕い申し上げておりますのに。
出典
新古今集(巻11・恋1・1049)「題しらず 伊勢」。
決まり字
なにわが
作者 伊勢
伊勢(875-940?)。古今集時代を代表する女流歌人。伊勢守藤原継景の女。
宇多天皇の中宮温子(おんし)に仕え、その兄中平と恋仲になりますが破局。その後宇多天皇から寵愛を受け皇子を生むも、皇子は早世します。
その後宇多天皇の皇子敦慶親王と結婚し中務(なかつかさ)を生みます。中務も後に女流歌人として知られるようになります。家集に『伊勢集』。