立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとし聞かば今帰り来む 中納言行平
読み方
たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん(ちゅうなごんゆきひら)
意味
あなたとお別れして私は因幡国に赴任しますが、その因幡国の峰に生えている松のように、あなたが「待つ」と言ってくださるのなら、ただちに戻ってきましょう。
出典
古今集(巻8・離別365)「題しらず 在原行平朝臣」。『古今和歌六帖』にも。
決まり字
たち
解説
855年(斉衡2年)在原行平が因幡守として赴任する際に、見送りの人々を前に詠んだ歌とされます。これから京都を出発して、因幡国…鳥取県に向かうのです。任期は4年ほどだったと考えられます。因幡といえば大伴家持が赴任した場所としてもおなじみですね。家持の因幡赴任は758年。約100年ほど昔の出来事です。
作者 中納言行平
中納言行平(818-893)。在原行平。平安初期の歌人。平城天皇の皇子阿保親王の第二子。在原業平の同母兄。大江千里の叔父。826年(天長2年)兄弟の仲平、業平らとともに臣籍降下して在原の姓を賜ります